IT業界と鬱病

鬱。それは心の風邪とも言われ、誰もがなりうる身近な病気らしい。

僕自身は、鬱病になったことはないと思う。鬱病の特徴として、無気力、暗い、死にたいと思うこと、などが挙げられるらしいけど、そんなものは全て僕の生まれながらの属性だ。会社の同僚に、「休みの日に何もしたいと思わないんですよ。ボーっとテレビ見てるだけ。ヤバイでしょ?」と相談されたことがあるけど、僕からするとまるっきり普通(正常)です。ニート時代の6年間は毎日それだったし、今も、週末は同じ。

自分でも、「死にたい」と思うのはヤバイかな、と思っていたけど、全然種類の違うものだということがわかった。鬱病の「死にたい」は、かなり強烈な思いのようだ。それに対して、僕の「死にたい」は、消極的な思いにすぎない。「面倒くさいから死んでもいいや」、「このまま朝、目が覚めなければいいのに・・・」そんなレベルです。歯も磨かない、顔も洗わないなんて考えられないし・・・。やっぱり鬱じゃないな。

IT業界は、鬱になる人が多いといわれている。うちの会社は偽装請負をやっているけど、「心の病で二人ほど脱落したので、急遽、人を派遣して欲しい」という依頼がよく来るらしい。実際、前の会社には抗鬱薬を常飲していた人が5人いたし、心の病で手の振るえが止まらない上司というのもいた。社員数が数十人でこれは割合高すぎだろ・・・。そして、今の会社には、心の病専門のカウンセラーに相談できる制度なんかが設けられていたりする。

なぜIT業界で鬱になる人が多いのか。僕が考える理由は以下の3つだ。

1.長時間労働
長時間労働は、人の体力と気力を削ぐ。そして、不眠症にもなりやすい。不眠症になるとますます体力と気力が削がれる。この悪循環で鬱になりやすいのだと思う。

2.納期や顧客(上司)から受ける精神的重圧
開発系だとデスマーチという言葉が存在するように、人員不足の状態で短納期の仕事をやらされることが多いようだ。それが何度も何度も繰り返されると、常に期限に追われる状況になり、心はどんどん磨り減っていくのだろう。

顧客や上司から受けるプレッシャーというのも相当なものだと思う。無理難題を吹っかける顧客や、人を奴隷とでも看做しているかのような態度をとる常駐先の上司。そういう輩がウヨウヨいる業界なのだ。前の会社の同僚や上司が鬱になったのは、威圧的な態度をとる社長や上司が原因だった。たしかに、カタギには見えんかった・・・。

3.対人能力の低さ
上に書いた2点は、別にどの仕事でもいえることだと思う。それなのにIT業界で鬱になる人が多いというのは、対人能力の低さというのが原因なんじゃないかと思う。普通の人なら、ある程度の精神的重圧を受けても、うまくかわしたり、処理したりできるのだろう。または、普段から根回しなんかをうまくして、自分には精神的重圧がかからない状況を作り出すこともできるのかもしれない。でも、僕みたいに対人能力の低い奴は、逆に、精神的重圧がモロにかかるような状況を作り出してしまうのだ。

こんなIT業界で働いている僕は、なぜ鬱になっていないのか。考えられる原因はただ一つ、いい加減だから。全てにおいて適当であり、口癖は「まっ、いいか」。こんなんだからダメ社員なんだけどさ・・・。

几帳面で完璧主義な人というのは、仕事はとてもできるけれど、鬱になりやすいようだ。ある程度のいい加減さというのは、生きていく上で必要なものだと思う。僕のいい加減さも、「ある程度」に収めないとダメね・・・。