カラマーゾフの兄弟


カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)
ドストエフスキー
新潮社
売り上げランキング: 15,956

長かったけど、ようやっと読み終わった。上・中・下巻を読むのに2ヶ月ぐらいかかったかも。読了したということに満足してます。恥ずかしながら、ドストエフスキーを読んだのはこれが初めてだ。普通は中高生の頃に「罪と罰」ぐらいは読むものなんだろうな。

カラマーゾフの兄弟を読もうと思ったのは、斉藤孝の本に「過剰な人がいっぱい出てくる」と書いてあったのと、文庫本の帯に「ダントツに面白い!」というようなことが書いてあったから。世界文学の最高傑作と称される作品なのに面白いなんて・・・と、ぜひ読んでみたくなったのだ。

で、面白かったのか?と問われると、答えに窮する。帯に書いてあるような、徹夜して読んでしまうぐらい面白い!ということはなかった。でも、いい意味で予想を裏切られた。ドストエフスキーの文学なんて、高尚で、堅くて、面白くなくて・・・という小説を想像していたのだけど、実際は全然違った。フョードルとミーチャの突き抜けっぷりがすごくて、セリフが何ともいいのだ。

もっとも、僕には文学としての価値なんてものはさっぱりわかりませんが・・・。キリスト教に親しみのない、無神論者に近い僕には、理解できなくて当然だろうと思う。

「カラマーゾフ的な」性質には、憧れる。自由奔放で、熱情的で、卑しく、そして欲望に忠実な・・・。生きるエネルギーに満ち溢れているように思う。それに比べて俺は、死んだ魚のような目をして毎日を生きております。つまんない、つまんないと言いながらね。

次は、ぜひ「罪と罰」を読んでみたい。

IT業界と鬱病

鬱。それは心の風邪とも言われ、誰もがなりうる身近な病気らしい。

僕自身は、鬱病になったことはないと思う。鬱病の特徴として、無気力、暗い、死にたいと思うこと、などが挙げられるらしいけど、そんなものは全て僕の生まれながらの属性だ。会社の同僚に、「休みの日に何もしたいと思わないんですよ。ボーっとテレビ見てるだけ。ヤバイでしょ?」と相談されたことがあるけど、僕からするとまるっきり普通(正常)です。ニート時代の6年間は毎日それだったし、今も、週末は同じ。

自分でも、「死にたい」と思うのはヤバイかな、と思っていたけど、全然種類の違うものだということがわかった。鬱病の「死にたい」は、かなり強烈な思いのようだ。それに対して、僕の「死にたい」は、消極的な思いにすぎない。「面倒くさいから死んでもいいや」、「このまま朝、目が覚めなければいいのに・・・」そんなレベルです。歯も磨かない、顔も洗わないなんて考えられないし・・・。やっぱり鬱じゃないな。

IT業界は、鬱になる人が多いといわれている。うちの会社は偽装請負をやっているけど、「心の病で二人ほど脱落したので、急遽、人を派遣して欲しい」という依頼がよく来るらしい。実際、前の会社には抗鬱薬を常飲していた人が5人いたし、心の病で手の振るえが止まらない上司というのもいた。社員数が数十人でこれは割合高すぎだろ・・・。そして、今の会社には、心の病専門のカウンセラーに相談できる制度なんかが設けられていたりする。

なぜIT業界で鬱になる人が多いのか。僕が考える理由は以下の3つだ。

1.長時間労働
長時間労働は、人の体力と気力を削ぐ。そして、不眠症にもなりやすい。不眠症になるとますます体力と気力が削がれる。この悪循環で鬱になりやすいのだと思う。

2.納期や顧客(上司)から受ける精神的重圧
開発系だとデスマーチという言葉が存在するように、人員不足の状態で短納期の仕事をやらされることが多いようだ。それが何度も何度も繰り返されると、常に期限に追われる状況になり、心はどんどん磨り減っていくのだろう。

顧客や上司から受けるプレッシャーというのも相当なものだと思う。無理難題を吹っかける顧客や、人を奴隷とでも看做しているかのような態度をとる常駐先の上司。そういう輩がウヨウヨいる業界なのだ。前の会社の同僚や上司が鬱になったのは、威圧的な態度をとる社長や上司が原因だった。たしかに、カタギには見えんかった・・・。

3.対人能力の低さ
上に書いた2点は、別にどの仕事でもいえることだと思う。それなのにIT業界で鬱になる人が多いというのは、対人能力の低さというのが原因なんじゃないかと思う。普通の人なら、ある程度の精神的重圧を受けても、うまくかわしたり、処理したりできるのだろう。または、普段から根回しなんかをうまくして、自分には精神的重圧がかからない状況を作り出すこともできるのかもしれない。でも、僕みたいに対人能力の低い奴は、逆に、精神的重圧がモロにかかるような状況を作り出してしまうのだ。

こんなIT業界で働いている僕は、なぜ鬱になっていないのか。考えられる原因はただ一つ、いい加減だから。全てにおいて適当であり、口癖は「まっ、いいか」。こんなんだからダメ社員なんだけどさ・・・。

几帳面で完璧主義な人というのは、仕事はとてもできるけれど、鬱になりやすいようだ。ある程度のいい加減さというのは、生きていく上で必要なものだと思う。僕のいい加減さも、「ある程度」に収めないとダメね・・・。

下流喰い


下流喰い―消費者金融の実態 (ちくま新書)
須田 慎一郎
筑摩書房
売り上げランキング: 436,855

消費者金融の本。おもしろかったです。

読んでいて、借金は恐ろしいということを再認識した。正直、ギャンブルのために借金したり、自分の財布と勘違いして消費者金融のATMを利用している奴は、勝手に破産してろと思う。でも、生活苦で利用せざるを得なかった人達は、救われなければならない。こういった本を読んで知識を付けることも、大切だと思った。無知だと、ほんとに喰われてしまうだけだ。

巻末に書かれていたセーフティネットの話が興味深かった。公共事業の削減で仕事を失った建築作業員など単純労働者の受け皿をどう作っていくかという話。新しい産業への転換といっても、いきなりIT業界で働けるとは思えない。しかも、IT業界に受け皿となるほどの労働力の需要があるとも思えない。。

これは、10年後のIT労働者としての自分にも言えることだ。その頃にはITなんて全くダメになっているかもしれない。下請け、孫請けという構図も建築業界と一緒だし・・・。そのとき、自分は他の仕事に就くことができるのだろうか。そのとき生き残るために、今何を身につけておくべきなのだろう。そんなことを考えてしまった。

俺自身は今までに消費者金融を利用したことはないし、これからも利用するつもりはない。でも、いつ利用せざるをえない状況に追い込まれるかはわからない。体を壊して働けなくなったら、借金するしか方法ないもんね。

毎月毎月、自分達の世代が受給できそうもない年金を払うのは馬鹿らしいと思っていたけど、障害者年金の受給資格を得られるというメリットは大きいと思った。

パラサイト・シングルの時代


パラサイト・シングルの時代 (ちくま新書)
山田 昌弘
筑摩書房
売り上げランキング: 138,160

パラサイト・シングルの自分には耳の痛い(目に痛い?)本だけど、とりあえず読んでおかねばと思った。たいしておもしろくなかった。

パラサイト・シングルが毎月家に入れているお金は1~3万円と書かれていて、俺が想像していた金額よりも少なかった。それに対して、パラサイトすることによって親から受けている便益は、10万円相当というようなことが書いてあった。

著者は、パラサイト・シングル対策として、この便益に対して贈与税をかけろと主張していた。かなり無茶苦茶な主張だと思った。そもそも、便益を金銭に換算することなんて無理だし、各家庭の特殊事情を細かく考慮することもできないだろうに。

パラサイト・シングルが、一部の恵まれた者だけが享受できる生活スタイルであるという点に関しては同意です。もし、自分の実家が都市の郊外ではなくド田舎にあったら、仕事のために都心で一人暮らしするか、無職ひきこもりのどちらかしか選択肢はなかったはずだから。

この本の中で一番アホらしいと思ったのは、正規雇用が減って非正規雇用が増えたのは、楽な働き方を選択したいという若者の意識によるもの、と書いてあったこと。あまりの現状認識のひどさに、あきれた。

あと、「パラサイト・シングルは猟奇殺人犯の温床」というような意味のことも書いてあった。偏見ありまくり。

国家の品格


国家の品格 (新潮新書)
藤原 正彦
新潮社
売り上げランキング: 22,626

これもベストセラーですね。おもしろかった。

論理も大切だけど、何より大切なのは、論理の出発点となる価値観。経済的繁栄よりも、世界から尊敬される国になろう!というのが主旨なのかな。

本のなかで、国民は馬鹿だから真のエリートが政治を決めればいい、と言い切っているのが痛快だった。

著者は「美」に重きをおいているけど、何を「美しい」と感じるかは人それぞれで難しい。こういう本はたいてい、「昔の日本はよかった」と、おじさん達の懐古趣味的な「美」の押し付けになりがちだ。絶対的な「美」、普遍的な「美」が存在するのならわかりやすいのだけど・・・。

でも、俺はどちらかというと、おじさん側ですね。ルーズソックスより紺のハイソックスだろ!と力説しちゃうし、ヤマンバギャルにいたってはどこが可愛いのか理解できんかった・・・。戦時中の、背筋をピンと伸ばして正座する、おかっぱ頭の女学生の写真なんかを見ると、もっさいけど美しいと思ったりする。逆に、駅のホームで、地べたにあぐらをかいてタバコを吹かしてる女子高生なんか見ると、汚ぇーと思う(パンツ見えるのは嬉しいが)。

女子高生に対する美的感覚も人それぞれっちゅうことです。ちなみに、これからの季節、白のセーターはポイント高いっすよね!ハァハァ・・・

■興味を持った本
「大破局」 徳間文庫
「自由からの逃走」 フロム
「武士道」

きょうの猫村さん

今日は髪を切りに行ってきた。美容室に置いてあった「きょうの猫村さん」を読む。おもしろい・・・。大勢のアシスタントやスクリーントーンを使わなくても、これだけ読ませることができるんだな。才能とは何とも眩しいもんだ。


きょうの猫村さん 1 (マガジンハウス文庫)
ほし よりこ
マガジンハウス
売り上げランキング: 14,304

その後、ブックオフに新書を買いにいく。最近、新書がおもしろい。今日は以下の新書と文庫をゲット。
国家の品格
パラサイト・シングルの時代
下流喰い
ハツカネズミと人間

ブックオフに寄ったついでに、電池交換に出していた腕時計を取りにいく。ニート時代に、俺を哀れに思った兄が五千円で譲ってくれた、キズだらけで電池切れのオメガ。2回目となる今回の電池交換の費用は4200円だった。4200円で、十分実用的な腕時計買えるよな。モノの価値って、よくわからん。

スタバでホットラテを飲んだ後にTSUTAYAに。ソニー・ロリンズのベストセレクションアルバムと、Blue Notesの名曲40曲を集めたアルバム、そして映画「インサイドマン」を借りた。Jazzの、特にサックスの音が好きだ。最近はコルトレーンばかり聴いている。次はアルトサックス奏者のアルバムを借りたい。

こんな感じの土曜日でした。

格差社会


格差社会―何が問題なのか (岩波新書)
橘木 俊詔
岩波書店
売り上げランキング: 70,736

教科書的な本で、あまり面白くはなかった。ただ、掲載されている統計の数値は興味深かった。

電車の中でこの本を読んでいたら、見知らぬ中年男性に「にいちゃん、いい本読んでるな!」と声をかけられた。きっと、俺と同じで格差社会を実感している人に違いない・・・。

階層の固定化
・医者の子は医者に、ブルーカラーの子はプルーカラーに

教育
・日本の教育に対する公的支出の割合は先進国の中で最低レベル

雇用
・非正規雇用の増大
・現在の日本社会では、一度フリーターになってしまうと、その後、フルタイマーには容易には転換できない
・一度フリーターになった者を、企業側は、勤労意欲が低く、仕事の熟練度も低い者と見なす
・国際的にも低すぎる日本の最低賃金
・最低賃金で働いている人の給料は、生活保護の受給額よりも少ない


・高所得者に有利で、低所得者に不利な制度

年金
・二十代の50%以上が年金未納

国民健康保険
・20%近くの世帯が滞納

貧困
・日本の貧困率は、先進国の中では3番目に高い。
・高齢者、若者の貧困率が高い。
・20%以上の世帯が貯蓄ゼロ。
・自己破産者、ホームレスの増加
・ニート、フリーターは、親が病気・失業・死亡した場合には、一気に貧困層に転換する。


格差社会への処方箋として、著者いくつかの案を提示している。そのなかで、職務給制度の導入というのが興味深かった。同一の仕事をしている者には、正規雇用者だろうと非正規雇用者だろうと同一の賃金を払う制度。しごくもっともな制度だなと思う。

ただ、著者の意図は非正規雇用者の賃金を上げることにあるのだろうけど、逆に正規雇用者の賃金が下がる結果になるだけなんじゃないかと思う。なぜなら、「若者はなぜ3年で辞めるのか?」という本に、日本企業の仕事は「本質的にはマックのバイトと同じ」と書かれていたから。少なくとも、俺がやっている低レベルな仕事に関してはそうだな・・・。

著者は重要視していなかったけど、規制緩和による非正規雇用の増大は、格差の原因として重要だと思う。同じ仕事をさせているのに払う給料は少なくてすむし、いつでもクビが切れる。非正規雇用の増大は、経営者側のメリットしかない。政府は経営者側の方しか向いていないのだ。

あと、サービス残業や年棒制の撤廃が必要だと思う。サービス残業で正規雇用者をただ働きさせるんじゃなく、その分ちゃんと人を正規雇用しろと。年棒制(裁量労働制)なんて、単に残業代を払わないですむためだけの制度だ。サービス残業は違法なのに、なぜこんなものが合法なのか理解できない。IT関連の仕事は、労働者に裁量権があるとして裁量労働制の採用が許可されているけど、「本質的にはマックのバイトと同じ」仕事に裁量なんてあるわけがない。

最近では逆に、サービス残業自体を合法化させようという動きが経営者側からあるという。それでもやはり、日本の労働者は暴動も起こさすに働くのだろうか。それともいつかキレるのだろうか。俺は暴れる元気があったら、日本を脱出して北欧にでも行きたいっすね。日本に対して、何の愛着もないというのが問題だな・・・。

「美しい国」の前に、「貧しくない国」だろ。

濃淡をつける

俺の欠点は、融通が利かないところ。本を読むときにも、最初の1文字から最後の1文字まで目を通さないと気持ちが悪い。飛ばし読みができないのよね。飛ばしたところに何か重要なことが書いてあったら・・・と思うと。

でも、これは非常に効率が悪いことを自覚している。全部に目を通したって、全部を記憶しておくことなんてできないのだから・・・。80対20の法則に従うと、重要な20%を読むことで、全体の80%を押さえることができるはず。

結局、濃淡をつけることが重要なのだ。優先度をつけると言い換えてもいいかもしれない。頭がいい人、仕事が出来る人は、濃淡をつけることができる人だと思う。人間の記憶力も時間も限られている以上、優劣の差は、対象の絞り込みで生じるはず。

まぁ、性格的なもんだからなかなか直せないんだけどね・・・。

スタバとニートと私

休日のスタバは、カップルばかりでチョォォォォォうざい(はい、僻みです)。そんななか、俺以外にも一人で来てる男性客を発見。リュックサックにもっさい格好

同志発見!

俺のアンテナがそう告げる。俺と同じで家にひきこもっていればいいのに、なんとなく人恋しくなって来ちゃったに違いない。彼の隣の席が空いていたので、俺はそこに座って読書を始めた。

彼もしばらくは読書をしていたのだけど、2杯目のキャラメルマキアートを注文したのと同時に、リュックからごそごそと何かを取り出した。そしておもむろにピコピコと・・・

ニンテンドーDSかよ!





いかん、いかんよ同志よ・・・。チュルルルルゥ・・・ボンッて、なんか音してるし!周囲のカップル達から冷たい視線が注がれているのにも気づかず、彼はピコピコと集中している。なんか痛々しくなって俺が耐えられなくなり、スタバを逃げるように後にした。

世間とのズレに気づかないニート(確度90%)の恐さ。俺も、自分で気付いていないだけでズレまくってるんだろうなと、暗い気持ちになった。