経済のニュースがよくわかる本シリーズの中でも抜群に面白かったです。実はこの本を読むのも二回目なんだけど、それでも面白いものは面白い。国とヘッジファンドとの攻防なんて、まるで小説を読んでるようです。
自国の通貨をマルクやドルと固定しておくために頑張りに頑張って、それでも崩壊したあとに経済が回復するというのがなんとも皮肉です。最初から固定しておく必要はなかったのでは・・・と思っちゃうんだけど、それは後知恵というものか。
この本を読んでいて思ったのは、当時の世界のこういった動きを全く知らなかったなぁ・・・ということ。そして、今現在も世界の動きを全く知らない。経済ってこんなに面白いのに勿体無いと感じた。
日本経済編でキーワードだと思った「適正価格」と「人間の心理」は、世界経済編でもキーワードだった。ノーベル賞受賞の経済学者たちが作ったヘッジファンドのLTCMは、「適正価格」を見抜くことを得意としており、"過去のデータから将来が見え、将来のリスクをコントロールできる"と信じ込んでいた。でも、人間の心理の「パニック」を考慮できなかったために破綻している。
LTCMの破綻やロシアのデフォルトの教訓は、「神話は疑うべし!」ですかね。「神話」という思考停止状態に陥るとダメなんだなと。
最後に、心に残った文章をメモ。
「"よくわからないけどなんだかスゴそう"という考えは大きな落とし穴があったりして危険」
「落とし穴に落ちないようにするためには、"最低限の勉強"をしてキチンと世の中の状況を見極める必要がある」
「断片的な情報だけで物事を判断しようとするとたいてい本質を見誤ってしまうから、視野を広く持って"全体から判断しよう"とすることがとても重要」